酸化防止剤無添加? コンビニワインから日本を分析する
本日もお疲れ様です。めそあなです。
以前、セブンイレブンさんのコンビニワインについて、その物語を紹介しました。
本日はそのコンビニワインの続きで、日本(全体)のワインについてのお話です。
もしご関心があれば、↓こちらもご覧ください。
海外だけど、日本???
前回のご紹介をざっくり申し上げると、コンビニで最も安価なラインのワインは、海外産(主に南米のチリ)のブドウ果汁を使って、日本で醸造したワインだということでした。
爽やかで飲みやすく、シンプルでいいワインだと思うのですが、「地理的・歴史的な側面から脳でワインを楽しむ」には少しエピソードに欠けるかもしれません。
ですが、このワイン、実はものすごい広がりを秘めているのです。
どんなメーカーが作っている???
さて、分かりやすさのため、日本の代表的なビール兼ワインメーカーを例にとってみましょう。
キリン、アサヒ、サントリー、サッポロですね。
これらの大手メーカーのワイン部門から、以下のようなワインが販売されているのです。
キリン
アサヒ
サントリー
サッポロ
もうお分かりかと思いますが、全て「酸化防止剤無添加」を売りにした、「輸入ブドウ果汁を用いて国内で製造したワイン」を販売しているのです。
国内製造ワイン
実は、こうした輸入ブドウ果汁を用いて製造するワインは、「国内製造ワイン」と国税庁で定義されており、日本で作られるワインの約8割を占めています。
よくイメージされる、「日本で作ったブドウで日本で醸造されるワイン」は、「日本ワイン」と定義され、2割しかないのです。
そうなのです。逆に言えば「酸化防止剤無添加」ワインを飲めば、日本のワインの8割について、脳で味わうことができるのです。
同ジャンルでの個性
もちろん、作り手は異なりますし、輸入ブドウ果汁をより厳選しているもの(有機ブドウ、産地を明記、品種を明記等)、フルボディやライトボディなどの飲み口の違いなど、様々なバリエーションが存在します。
セブンイレブンさんのワインが美味しかったように、最新のテクノロジーを用いて衛生的に醸造され、一つ一つ味わい深いものと想像しますし、ワイン好きでも、「おっ」と思えるものもおそらくあると思います。
ですが、一般人が現実的に飲める範囲の本数で比べると、やはりこれらの商品は同じものに見えてしまうかな?というのがめそあなの感想です。
シャブリはシャブリ
さて、同じことは、有名な産地やブランドでも成り立つと思います。
たとえば、有名な白ワインとして、ブルゴーニュのシャブリがあります。シャブリの中でも、プティ・シャブリ、プルミエ・クリュなど、いろいろなランクがあり、バリエーションが豊富です。さらに、同じクラスでも個別の区画によって微妙に味わいが異なります(テロワール)し、作り手の醸造方法でも大きな差が生まれてきます。
ですが、シャブリといえば、、、シャブリというブランド(辛口のミネラル感の強いシャルドネ)がほぼ全てなのではないのでしょうか?
少なくとも、(一部の特別にブランド化されているグラン・クリュ以外は、)消費者の大多数である一般の人には細かな違いは判別不能かと思います。もちろん、めそあなもブラインドテイスティングで分かるかといえば、全く自信はありません。
つまり、「シャブリ」というブランドは、ブランド内のレッド・オーシャンを正当化するほどに、全体としての価値を高めるものであるのです。
重要なのはマーケティング
だからこそ、ワインのマーケティングという観点が非常に重要になってくるかと思います。
飲む本数が本源的に限られている商品を、大きな差別化ができない範囲でも売れるようにするマジックワード(=ブランド)。日本におけるその一つが「酸化防止剤無添加」なのでしょう。
こうした目でもう一度ワインコーナーを眺めてみてください。面白いかもしれませんよ!
さて、本日も長文にもかかわず、ご覧いただきありがとうございました。
それでは、本日もお疲れ様です。またお会いしましょう。